FRPタンクの紫外線劣化について
FRPタンクの外面劣化の主な原因は「紫外線」です。こちらの記事ではFRPタンクの紫外線劣化についてご説明いたします。
FRPの構造
FRPタンクの紫外線劣化についてご説明する前に、まずFRPの構造をご説明します。
FRPは下図のようにガラス繊維のシートに樹脂を含侵させたものを層状に重ね、硬化させたものです。
外面の表層は樹脂で塗装されています。この構造で製作されたものがFRPタンクです。
FRPの紫外線劣化症状とメカニズム
FRPタンクは紫外線により外面の樹脂が分解され、劣化していきます。屋外に設置しているFRPタンクは特に表面の劣化のスピードも早くなります。
FRP劣化①:外面樹脂の劣化
まず劣化の初期段階で起こってくるのが、外面の樹脂の劣化です。
塗料による外面塗装のタンクの場合、チョーク状の粉が手に付く「チョーキング現象」が見られます。
チョーキング現象とは表面の顔料成分が分解され粉状になってしまう現象です。
FRP樹脂によるトップコートのタンクの場合は、外面の樹脂が徐々に分解されなくなっていきます。
FRP劣化②:ガラス繊維の表出
外面樹脂の劣化が進むと、樹脂がなくなりガラス繊維が表出してきます。この状態になるとガラス繊維に光が反射し表面がキラキラしてきます。
紫外線劣化をしても強度には影響は少ない
紫外線劣化により影響を受けるのは、タンク外面の樹脂部分です。ガラス繊維は紫外線劣化を起こしませんので、ガラス繊維が表出していても強度への影響はありません。
ただし、ガラス繊維が表出して真っ白な状態になったまま使い続けると、強風やその他天候条件によってガラス繊維が空中に飛び散ってしまう事態に陥ります。
表出していたガラス繊維が雨風により無くなると、次層の樹脂が表出し紫外線により劣化します。ですが、この周期は非常に長いため影響が少ないといえます。
紫外線劣化を完全には防止は出来ないのでこまめなメンテナンスを
たとえ耐候性塗料を塗装していたとしても、塗料も樹脂である以上、紫外線による劣化はどうしても起こってしまいます。
表層の劣化が見られたFRPタンクは、塗装部分をサンディングによる下処理をおこなった上で再塗装を行い、更なる劣化を防ぐようにしてください。
ガラス繊維が表出する前に早めの再塗装を行うことをおすすめいたします。
ガラス繊維の表出が進行している場合は、塗装だけではなくFRPの再積層をおこなうことで外観がかなり変わります。
糸川産業ではFRPの再塗装及び再積層をはじめとするFRPタンクの各種補修を承っております。
お気軽にお問い合わせください。